【徹底比較】新時代の不眠症治療薬4選|ベルソムラ・デエビゴ・クービビック・ボルズィの特徴と違い
本記事は、各製薬企業の公式HP、添付文書、業界メディア(KEGG、PMDA、MixOnline、PassMedなど)をもとに作成しています。
はじめに|不眠症治療薬の進化
不眠症の治療薬はこれまでベンゾジアゼピン系薬剤が主流でしたが、副作用や依存性の課題を背景に、作用機序の異なる新規薬剤が相次いで登場しています。本記事では、ベルソムラ(MSD)、デエビゴ(エーザイ)、クービビック(塩野義製薬)、ボルズィ(大塚製薬)という注目の4製品を比較し、それぞれの特徴や違いを解説します。
1. ベルソムラ(スボレキサント)|オレキシン受容体拮抗薬のパイオニア
- 販売元:MSD
- 成分名:スボレキサント
- 承認年:2014年
- 作用機序:オレキシンOX1RおよびOX2R受容体拮抗
- 効能・効果:不眠症
- 用法・用量:1回20mg、就寝前に服用(高齢者は15mg)
ベルソムラは世界初のオレキシン受容体拮抗薬(DORA)として登場しました。入眠効果よりも、中途覚醒や早朝覚醒への改善効果が特徴です。CYP3Aによる代謝があり、薬物相互作用には注意が必要です。
2. デエビゴ(レンボレキサント)|入眠+持続効果を両立
- 販売元:エーザイ
- 成分名:レンボレキサント
- 承認年:2020年
- 作用機序:オレキシンOX1RおよびOX2R受容体拮抗
- 効能・効果:不眠症
- 用法・用量:1回5mgから開始、必要に応じ10mgまで増量
ベルソムラと同様にDORAに分類されますが、入眠潜時短縮効果が明確で、翌朝の眠気の少なさでも評価されています。非劣性試験ではZ薬との比較で劣らない効果を示し、安全性面も良好です。
3. クービビック(ダリドレキサント)|初の半減期短縮型DORA
- 販売元:塩野義製薬
- 成分名:ダリドレキサント
- 承認年:2024年
- 作用機序:オレキシンOX1RおよびOX2R受容体拮抗
- 効能・効果:不眠症
- 用法・用量:就寝前に25mgまたは50mg
ダリドレキサントは半減期が約8時間と短めで、入眠効果と持続効果のバランスが良いとされています。特に翌朝の眠気や運転能力への影響が少ないことが特長で、高齢者への投与にも配慮されています。
4. ボルズィ(イメガクロン)|GABA非作動性のH3受容体拮抗薬
- 販売元:大塚製薬
- 成分名:イメガクロン
- 承認年:2025年予定(国内初承認済)
- 作用機序:ヒスタミンH3受容体拮抗薬
- 効能・効果:不眠症
- 用法・用量:25mg、50mg(詳細は今後公開)
ボルズィはこれまでの不眠症治療薬とは異なり、ヒスタミンH3受容体を拮抗するという新しいアプローチを採用。H3は自己受容体として働きヒスタミン放出を抑制しているため、それを拮抗することで自然な覚醒リズムを維持しながら睡眠を導入する作用が期待されています。
既存のDORAとは作用機序が異なるため、耐性や依存性の少なさ、併用治療への可能性にも注目が集まっています。
比較まとめ表
製品名 | 成分名 | 発売年 | 作用機序 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ベルソムラ | スボレキサント | 2014年 | オレキシンOX1/2拮抗 | 持続効果に優れる |
デエビゴ | レンボレキサント | 2020年 | オレキシンOX1/2拮抗 | 入眠効果も高い |
クービビック | ダリドレキサント | 2024年 | オレキシンOX1/2拮抗 | 半減期短く翌朝すっきり |
ボルズィ | イメガクロン | 2025年 | H3受容体拮抗 | 新規作用機序、非GABA系 |
おわりに|不眠症治療の個別化が進む時代へ
不眠症治療薬は今や、作用機序や副作用プロファイルを考慮した個別化の時代へと移行しています。患者背景(高齢者・併用薬・日中の活動性)に応じて、薬剤の特性を理解して選択することが重要です。今後も新規薬剤の登場が予想され、ますます治療の幅が広がるでしょう。
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