【2024年決算】ロシュ・アストラゼネカ・ノバルティス・BMSの最新動向と今後の展望

【2024年決算】ロシュ・アストラゼネカ・ノバルティス・BMSの最新動向と今後の展望

2024年の決算シーズンが終わり、各グローバル製薬企業の業績が明らかになってきました。

今回はロシュ(Roche)、アストラゼネカ(AstraZeneca)、ノバルティス(Novartis)、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)の4社に焦点を当て、それぞれの売上動向や主力製品の成長、今後の見通しについて詳しく見ていきます。

外資系製薬企業への転職を考えているMRにとっても、各社の業績や成長戦略を理解することは非常に重要です。

本記事では、これらの企業の成長分野や重点領域についても解説し、今後のキャリア戦略の参考になるようにまとめました。

1. ロシュ(Roche):売上堅調も利益は減少、新薬の成長がカギ

● 2024年売上:623.95億CHF(約708.81億ドル)[前年比+3%(CERベース+7%)]

● 医療用医薬品売上:480.42億CHF(約545.76億ドル)[前年比+5%(CERベース+8%)]

● 純利益:91.87億CHF(約104.36億ドル)[前年比-26%]

ロシュは2024年も売上の成長を維持しましたが、純利益は前年比26%減少しました。

◎ 主力製品の売上動向

オクレバス(多発性硬化症治療薬):67.44億CHF(約76.61億ドル、前年比+6%)

ヘムライブラ(血友病A治療薬):45.03億CHF(約51.15億ドル、前年比+9%)

バビースモ(加齢黄斑変性治療薬):38.64億CHF(約43.90億ドル、前年比+64%)

フェスゴ(乳がん治療薬):17.40億CHF(約19.77億ドル、前年比+55%)

バビースモフェスゴの成長が目立つ一方で、かつての主力製品であった**抗がん剤(アバスチン・ハーセプチン・リツキサン)**の売上減少が続いており、新薬の成長が重要なポイントになっています。

◎ 2025年の展望

2024年には新薬として**ピアスカイ(発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬)Itovebi(乳がん治療薬)**が承認されました。

2025年はこれらの新薬がどこまで成長するかが焦点となります。

2. アストラゼネカ(AstraZeneca):がん領域とSGLT2阻害剤が成長を牽引

● 2024年売上:540.73億ドル[前年比+18%(CERベース+21%)]

● 純利益:70.41億ドル[前年比+18%]

アストラゼネカは売上・純利益ともに2桁成長を達成し、2024年の外資系製薬企業の中でも好調な結果を残しました。

◎ 主力製品の売上動向

タグリッソ(肺がん治療薬):65.80億ドル(前年比+13%)

イミフィンジ(がん免疫療法薬):47.17億ドル(前年比+17%)

フォシーガ(SGLT2阻害剤):76.56億ドル(前年比+28%)

ユルトミリス(発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬):39.24億ドル(前年比+32%)

特にフォシーガ(SGLT2阻害剤)は28%増と大きく成長し、今後も心血管・腎領域の中心的な薬剤として期待されています。

◎ 2025年の展望

アストラゼネカはがん領域・免疫疾患・心血管疾患に注力しており、2025年も1桁台後半の成長を見込むと発表しています。

特に、**次世代の抗体薬やADC(抗体薬物複合体)**が成長のカギになりそうです。

3. ノバルティス(Novartis):サンド分離後の成長加速、新薬が好調

● 2024年売上:503.17億ドル[前年比+11%(CERベース+12%)]

● 純利益:119.39億ドル[前年比+39%]

ノバルティスは2023年に後発品部門(サンド)を分離し、新薬に特化したビジネスモデルに転換しました。

その結果、売上11%増・純利益39%増と大きく成長しています。

◎ 主力製品の売上動向

エンレスト(心不全治療薬):78.22億ドル(前年比+30%)

コセンティクス(乾癬治療薬):61.41億ドル(前年比+23%)

ケシンプタ(多発性硬化症治療薬):32.24億ドル(前年比+49%)

Kisqali(乳がん治療薬):30.33億ドル(前年比+46%)

エンレストコセンティクスの成長が目立ち、新薬のラインナップも充実してきています。

◎ 2025年の展望

2025年は、エンレストやプロマクタなどの後発品参入があり、一部製品では売上減少のリスクもあります。

しかし、**Pluvicto(前立腺がん治療薬)やレクビオ(LDLコレステロール低下剤)**の成長が期待されており、新薬のポートフォリオが鍵を握ります。

4. ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS):買収戦略と血液がん領域の成長

● 2024年売上:483.00億ドル[前年比+7%(CERベース+9%)]

● 純損益:-89.48億ドル(赤字転落)

BMSは2024年にKaruna社の買収SystImmune社との提携を行い、精神疾患やがん領域の強化を進めています。

しかし、これに伴うIPRD費の増加で赤字決算となりました。

◎ 主力製品の売上動向

エリキュース(抗凝固薬):133.33億ドル(前年比+9%)

オプジーボ(がん免疫療法薬):93.04億ドル(前年比+3%)

レブロジル(骨髄異形成症候群治療薬):17.73億ドル(前年比+76%)

◎ 2025年の展望

BMSは後発品の影響で売上減少が見込まれるものの、新たな買収戦略で長期成長を目指しています。

特にCAR-T細胞療法や新規がん治療薬の伸びに注目です。

【まとめ】

これらの企業はそれぞれ新薬の成長や買収戦略を通じて、グローバル競争に挑んでいます。

転職を考えるMRにとって、成長分野を見極めることが今後のキャリア形成の鍵となるでしょう。

かいり

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