ヤンセンファーマが精神科から撤退?!J&Jのグローバル展開から今後の活動を予測する
公開日:2025年5月|著者:バイオベンチャーMRかいり
■ Xで話題!ヤンセンの精神科撤退
2025年4月に、精神科領域に携わる医療関係者のX投稿が話題になりました。
投稿によると、ヤンセンファーマは日本国内で精神科領域からの撤退を進めており、担当MRの再配置が始まっているとのことです。 公式な発表はありませんが、現場の声として多くの医療従事者から驚きと落胆の声が上がっています。
■ ヤンセンファーマとは?精神科の礎を築いた企業
ヤンセンファーマは、ベルギーの精神科医ポール・ヤンセン博士が1953年に創業した製薬企業です。
博士はハロペリドール(Haloperidol)をはじめとする数々の抗精神病薬を開発し、統合失調症や双極性障害などの治療に革新をもたらしました。
その後も「リスパダール」「インヴェガ」など、精神科治療における中心的な薬剤を開発・供給し続け、日本国内でも精神・神経領域で圧倒的なプレゼンスを築いてきました。
■ 精神科からの撤退はなぜ起きたのか?
グローバルでの事業戦略転換が背景にあります。親会社であるJohnson & Johnsonは、近年「免疫疾患」「腫瘍領域」など成長性の高い分野に集中する方針を強めています。
2023年にはコンシューマーヘルス部門を「Kenvue」として分離し、医療用医薬品に特化した戦略を推進。その中でも、限られた注力領域への選択と集中が加速しています。
■ 注力領域は?ヤンセンの今後をパイプラインから読む
ヤンセンが2025年に発表している国内・グローバルの主な開発パイプラインは以下の通りです。
疾患領域 | 製品名 | 作用機序 | 開発状況 |
---|---|---|---|
乾癬・クローン病 | トレムフィア(guselkumab) | IL-23p19 阻害抗体 | 承認済・追加適応拡大中 |
多発性骨髄腫 | TECVAYLI(teclistamab) | BCMA/CD3 二重特異性抗体 | 承認済(米/EU)・日本申請準備中 |
非小細胞肺がん | RYBREVANT(amivantamab) | EGFR/MET 二重特異性抗体 | 臨床第3相 |
前立腺がん | Niraparib | PARP阻害薬 | 臨床第3相 |
免疫疾患・オンコロジー・希少疾患に特化した高難度医薬品が中心であり、今後もこの方針は続くと見られます。
■ 今後の国内戦略は?ヤンセンの未来を考察
日本法人では、精神科領域のMRやMSLが免疫や腫瘍領域へ配置転換されているとの情報が業界内で共有されています。
今後は製品数こそ限定的ながら、希少疾患や高単価治療に特化した深耕型営業モデルへの移行が進むでしょう。
同時に、デジタルツールやRWE(リアルワールドエビデンス)を活用した情報提供も求められ、より高い専門性がMRに要求されます。
■ ヤンセンで働く意義とキャリアの可能性
精神科撤退という大きな変化の中でも、ヤンセンで働くことの意義は失われていません。むしろ、次の3つの視点から、今後さらに「希少価値のあるキャリア」を築く場として注目すべきです。
- 1. グローバル戦略に即した業務経験:世界と連動した開発・販売戦略に携われる。
- 2. 高難度疾患に対する専門性:免疫・腫瘍など限られたMRしか関われない領域。
- 3. 希少疾患への社会的貢献:患者数は少なくとも、治療のインパクトが極めて大きい。
■ まとめ:撤退は終わりではなく、変革の始まり
精神科領域からの撤退は、ヤンセンの“終焉”ではなく、“新たな始まり”です。
ポール・ヤンセン博士が築いた「革新の精神」は今もなお受け継がれています。
今後、より高難度で専門性の高い領域で「深く狭く貢献する」スタイルが、MRにも求められる時代です。
キャリアにおいても、変化を恐れず、次のステージに挑む意志が問われているのかもしれません。
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