ルンドベックが片頭痛薬エプチネズマブを申請!特徴、既存薬との違いと社風を徹底解説【MR必読】
2025年11月17日、ルンドベック・ジャパンは抗CGRP抗体「エプチネズマブ(Eptinezumab)」を日本で申請したと発表しました。
2020年の米国承認以降、世界30カ国以上で承認されており、日本でもついにローンチが見えてきました。
本記事では、エプチネズマブの特徴、既存薬との違い、CGRP抗体の比較、日本法人ルンドベックの社風、転職での魅力まで、MR視点で徹底解説します。
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1. ルンドベックとは?脳神経領域に特化したグローバル製薬企業
ルンドベック(H. Lundbeck)はデンマークを本拠地とし、90年以上にわたり脳神経領域(CNS)に完全特化した珍しいグローバル製薬企業です。
主な疾患領域は以下:
- うつ病
- 統合失調症
- アルツハイマー病
- パーキンソン病
- 片頭痛
■ 日本法人としてのこれまでの活動
ルンドベック・ジャパンはこれまで、精神科・神経内科領域を中心に活動してきました。代表的な製品としては抗うつ薬の「レクサプロ」(持田製薬と共同)があります。
しかし、日本で自社単独で承認された製品はこれまで存在せず、今回のエプチネズマブが初の自社承認品になる見込みです。
これは企業としての日本投資の強化を示すものであり、今後は片頭痛領域での市場参入に注目が集まります。
2. エプチネズマブとは?抗CGRP抗体の最新型「点滴投与」製剤
エプチネズマブ(国内製品名未定)は、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を標的とした片頭痛発作抑制薬で、次の特徴を持ちます。
■ 特徴①:世界で唯一の「点滴投与」のCGRP抗体
四半期(3ヶ月)に1回、約30分で点滴投与します。
皮下注射(自己注射)が主流のCGRP抗体の中で、医療機関で“確実に”投与する点滴型は独自性が強く、
- 自己注射が苦手な患者
- 確実なアドヒアランスを担保したい患者
- 重症片頭痛患者
などにフィットしやすい仕様です。
■ 特徴②:即効性が高い
皮下注射製剤と比べ、投与後の血中濃度到達が非常に速く、即時効果を示しやすい点が海外の強みとして報告されています。
■ 特徴③:国際P3試験(アジア含む)で有効性を示す
今回の日本申請の根拠は、日本・中国・韓国・台湾を含むアジア中心の国際共同P3試験のデータです。
有効性・安全性がアジア人でも確認され、国内申請が実現しました。
3. 片頭痛治療の最新トレンド:CGRP関連薬は4クラスで整理するのがMR視点で最強
現在の片頭痛治療は、大きく以下の4領域に整理できます。
① 抗CGRP抗体(予防)
- エムガルティ(ガルカネズマブ)/イーライリリー×第一三共
- アジョビ(フレマネズマブ)/大塚製薬
- アイモビーグ(エレヌマブ)/アムジェン
- エプチネズマブ(点滴)/ルンドベック ★NEW
② CGRP受容体拮抗薬(Gepant:急性期+予防)
- ナルティークOD錠(リメゲパント)/ファイザー(2025年発売)
- アトゲパント(商品名未定)/申請予定
③ 既存の予防薬
- トピラマート
- バルプロ酸
- β遮断薬
- カルシウム拮抗薬 など
④ 急性期治療薬
- トリプタン製剤
- NSAIDs
- 新規Gepantの急性期適応
つまり片頭痛治療は「抗体 × ゲパント × 既存」 の三層構造へ完全に移行したと言えます。
4. CGRP抗体の特徴比較(MRが語れるレベルでまとめ)
| 薬剤名 | 投与方法 | 投与間隔 | 標的 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| エムガルティ (ガルカネズマブ) | 皮下注 | 月1回 | CGRP | 最も処方経験が多い。群発頭痛にも適応。 |
| アジョビ (フレマネズマブ) | 皮下注 | 月1回 or 3ヶ月1回 | CGRP | 柔軟な投与スケジュール。 |
| アイモビーグ (エレヌマブ) | 皮下注 | 月1回 | CGRP受容体 | 唯一の受容体標的。便秘の副作用が特徴的。 |
| エプチネズマブ | 点滴静注 | 3ヶ月に1回 | CGRP | 唯一の点滴型。即効性が強み。 |
5. MR視点でのエプチネズマブの市場ポジション
■ 競合抗体との差別化ポイント
- 唯一の点滴投与 → 医療機関ビジネスと親和性が高い
- 即効性 → 「すぐ効きたい」層に刺さる
- アドヒアランス担保 → “打ち忘れゼロ”
- 自己注射が苦手な層を取り込める
■ 病院中心に広がる可能性
皮下注製剤はクリニックが得意領域ですが、点滴は病院優位です。
つまり、ルンドベックはこれまで精神科中心だった流れを、脳神経内科・頭痛外来へ大きく広げる戦略が予想されます。
6. ルンドベックの社風:CNS専門、穏やかでプロフェッショナルな文化
MR界隈で語られるルンドベックの印象は以下の通りです。
- 外資だが“穏やかで専門性重視”
- 精神科・神経内科に深く入り込むスタイル
- 過度な売上プレッシャーが少ない
- リストラ少なめ、安定志向
- 社員の人柄がよく、プロフェッショナル集団
特に新薬ローンチは企業風土を変えるチャンスであり、片頭痛領域の立ち上げでMR採用が強化される可能性は高いといえます。
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7. 今後のキャリア戦略:片頭痛領域が“最も熱い市場”である理由
片頭痛領域は今、製薬業界で最も成長している市場の1つです。
■ 理由①:未治療・治療不十分患者が非常に多い
CGRP抗体やGepantによって治療選択肢が劇的に増えています。
■ 理由②:CGRP抗体 × Gepantで市場が巨大化中
予防薬と急性期薬が両輪となり、今後さらに市場が拡大。
■ 理由③:KOLが明確で攻略しやすい
専門医・頭痛外来・脳神経内科に限られるため、MR戦略が立てやすいのも特徴。
■ 理由④:外資・バイオ系が続々参入 → キャリア価値が跳ね上がる
- ルンドベック
- ファイザー(Gepant)
- 第一三共×リリー
- アムジェン
- 大塚製薬
これから5年、片頭痛領域経験は非常に強い“職務価値”になります。
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8. MRが今取るべきアクション
① 片頭痛領域のKOL・主要施設を押さえる
聖マリアンナ、順天堂、昭和、頭痛センターなど全国に中心施設が存在。
② 既存CGRP抗体の特徴を頭に入れる
特に“受容体かリガンドか”“点滴か皮下注か”は差別化に必須。
③ Gepant(ゲパント)を理解しておく
今後の市場の中心。急性期+予防の二刀流が基本戦略へ。
④ ルンドベックのカルチャーを把握しておく
専門領域に深く入りたいMRには非常に相性の良い会社。
⑤ 転職市場の求人動向をウォッチしておく
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9. まとめ:エプチネズマブは片頭痛市場の“第4の抗体”として期待大
エプチネズマブの日本申請は、片頭痛領域に新たな選択肢をもたらします。
- 唯一の点滴型CGRP抗体
- 即効性の強さ
- アドヒアランスの高さ
- 病院中心の独自ポジション
- ルンドベック初の日本での単独品目
これらは市場だけでなく、MRのキャリア戦略においても非常に大きな意味を持ちます。
片頭痛領域は今後さらに大きく伸び、CGRP抗体とGepantが中心となる未来はほぼ確実です。
ぜひキャリア形成にも役立ててください。


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