サノフィ&リジェネロンを支えるデュピクセント徹底解説!止まらない進化の行方とMRの働き方について
デュピクセント(一般名:デュピルマブ)は、サノフィとリジェネロンが共同で開発・展開する“Type2炎症”の中核薬として、複数疾患で適応を広げ続けています。近年は「既存適応の深掘り」だけでなく、新規適応の第Ⅲ相や周辺疾患への拡張、さらに“その先”を見据えたパイプラインが議論される段階に入っています。
本記事では、一次情報(サノフィ公式プレスリリース/サノフィ日本のパイプライン、MixOnline記事)を軸に、エビデンスに基づく「今後の開発」と、後継候補(ポスト・デュピクセント)の考え方、そしてMRの働き方がどう変わるかを整理します。
目次
- デュピクセントの“強さ”は何か(作用機序とType2炎症)
- 今後の開発:サノフィ日本パイプラインから読み解く(正確版)
- 最新エビデンス:AFRS(アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)の第Ⅲ相データ
- 後継品はどうなる?「ポスト・デュピクセント」の現実的な見立て
- MRの働き方:多疾患・多診療科時代に“評価される仕事”
- まとめ
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1. デュピクセントの“強さ”は何か(作用機序とType2炎症)
サノフィの公式説明では、デュピクセントはIL-4/IL-13経路のシグナル伝達を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体で、免疫抑制剤ではないとされています。Type2炎症を“中心から”抑えることで、アトピー性皮膚炎、喘息、慢性副鼻腔炎(鼻茸)など、併存しやすい疾患群にまたがって治療価値を発揮する設計です。
ポイント(MR視点)
1つの疾患だけでなく、患者さんが抱えるType2炎症の“連鎖(皮膚・上気道・下気道)”を見に行ける薬であることが、デュピクセントの強みです。
だからこそ、今後は「適応追加」と「既存適応内での対象拡大(年齢・重症度・併存疾患)」が同時に進みやすい構造になります。
2. 今後の開発:サノフィ日本パイプラインから読み解く(正確版)
サノフィHPには、デュピルマブ(SAR231893)の国内開発状況が明確に記載されています。
国内で動いている主な開発(デュピルマブ)
- 喘息(小児):申請中
- 水疱性類天疱瘡:申請中
- アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(AFRS):第Ⅲ相
- 原因不明の慢性そう痒症:第Ⅲ相
- 慢性単純性苔癬:第Ⅲ相
重要なのは、これらが単なる“追加”ではなく、皮膚(炎症/掻痒)・呼吸器(喘息)・耳鼻科(AFRS)と、診療科横断で広がっていく点です。MR活動は「単一科の深耕」から、施設内の横串連携(皮膚科×呼吸器×耳鼻科)が効きやすくなります。
3. 最新エビデンス:AFRS(アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)の第Ⅲ相データ
サノフィの公式プレスリリース(2025年11月25日付)では、AFRSを対象とした第Ⅲ相(LIBERTY-AFRS-AIMS)で、デュピクセントが主要・副次評価項目を達成したことが示されています。
プレスリリースに記載の要点
- 主要評価項目:CTで評価する副鼻腔混濁度(Lund-Mackayスコア)の改善が、プラセボに対して有意
- 副次評価項目:鼻閉(患者報告)や鼻茸サイズ(内視鏡)などでも有意差
- 臨床的に大きい点:52週間で、全身ステロイド投与および/または手術の必要性が92%低下(プラセボ比較)
- 安全性:既承認の呼吸器適応での既知の安全性プロファイルと同様と説明
AFRSは治療選択肢が限られ、再発やステロイド負荷が課題になりやすい領域です。ここで“手術/ステロイド必要性の低下”が示されると、MRが提供すべき価値は「薬の説明」だけでなく、治療目標(再発・ステロイド・QOL)をどう置くかという“設計”へ寄っていきます。
4. 後継品はどうなる?「ポスト・デュピクセント」の現実的な見立て
デュピクセント級のメガブランドがあると、次に必ず問われるのがLOE(特許切れ)後の成長戦略です。報道では、サノフィはデュピクセントの特許保護が2031年に失われる見通しに言及され、後続を担う候補としてamlitelimabが“次の柱”として見られてきた経緯が紹介されています。
一方で、2025年9月の報道では、amlitelimab(アトピー性皮膚炎向け)の第Ⅲ相結果は主要目標を達成したものの、デュピクセントと比較した際の有効性の見え方が市場の期待を下回った、という論調も出ています(※「置き換え」ではなく、補完や投与間隔等の価値でどう位置付けるかが焦点になりやすい状況)。
“後継”の考え方は1本ではない
- (A)同じ疾患での後継:アトピー性皮膚炎・喘息などで、より高い効果/利便性を狙う
- (B)周辺疾患での拡張:デュピクセントを軸に適応を増やし、Type2炎症フランチャイズとして守る
- (C)モダリティ分散:抗体だけでなく、別モダリティ(例:Nanobody、経口BTK阻害など)でポートフォリオを厚くする
サノフィの発表(米国向け情報)では、呼吸器領域でrilzabrutinib(経口BTK阻害)やlunsekimig(IL-13/TSLP Nanobody)などの開発が紹介されています。日本のパイプライン上でも、rilzabrutinibはITPで申請中として掲載されています。
結論
“デュピクセントの完全な置き換え”よりも、デュピクセント+複数の後続資産で売上の谷(特許崖)をなだらかにする戦略の方が起こりやすい構図です。
その分、MRは「1品目で勝つ」より、Type2炎症ポートフォリオで施設を面で支える働き方が強く求められます。
5. MRの働き方:多疾患・多診療科時代に“評価される仕事”
デュピクセントの進化が続くほど、MRの役割は「処方を増やす」だけでは成立しにくくなります。今後のMRは、導入設計・継続支援・診療科横断の連携を作れるかが勝負です。
(1)“施設内の横串”が成果を生む
皮膚科・呼吸器内科・耳鼻科にまたがる疾患群(アトピー、喘息、鼻副鼻腔炎、掻痒関連)では、同一患者が複数科に関わることが珍しくありません。施設内で、紹介・併診・検査・治療目標が噛み合うほど、治療の最適化と継続率に効いてきます。
(2)治療継続を“仕組み化”する(患者支援の進化)
MixOnlineでも、デュピクセント使用患者向けスマホアプリ「MyWay」の提供が報じられています。症状の記録・可視化、治療スケジュール管理、教育コンテンツなどを通じて、治療満足度と継続を支援する狙いです。こうした周辺施策が増えるほど、MRは「薬」だけでなく、継続を支えるエコシステムを提案する役割が濃くなります。
(3)サノフィ×リジェネロンの動きは“現場の変化”に直結する
MixOnlineのインタビューでは、リジェネロン側が日本を重要市場と位置付け、開発・組織の加速を示唆しています。パイプライン導入が進むほど、現場は「今の主力」だけでなく、次の資産を見据えた活動(KOL育成、施設戦略、適応拡張の下地作り)へ比重が移りやすくなります。
6. まとめ
- デュピクセントはIL-4/IL-13経路を抑えることで、Type2炎症疾患にまたがる価値を作ってきた
- サノフィ日本のパイプラインでは、小児喘息、BP(申請中)、AFRS/慢性そう痒/慢性単純性苔癬(第Ⅲ相)など“次の伸び”が具体的に見える
- AFRS第Ⅲ相では、主要項目達成に加え手術/全身ステロイド必要性92%低下が示され、臨床的インパクトが大きい
- ポスト・デュピクセントは「置き換え一択」ではなく、複数資産でフランチャイズを厚くする方向が現実的
- MRは、診療科横断・継続支援・導入設計ができるほど、価値提供の幅が広がる
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多適応フランチャイズは、MRにも「専門性×横断設計力」が求められる分、市場価値が上がりやすい領域です。
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参考リンク(一次情報中心)
- MixOnline:リジェネロン国内後期開発・日本市場の位置付けに関するインタビュー
- MixOnline:リジェネロンの国内申請ニュース(日本での展開加速の文脈)
- サノフィ公式:AFRSに関するプレスリリース(第Ⅲ相・主要評価項目達成)
- サノフィ日本:私たちのパイプライン(2025年11月30日版)
※本記事は、公開情報(企業公式資料・報道)をもとに一般向けに整理した内容です。適応や開発段階は更新される可能性があります。
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