【WHO、成人への肥満症治療薬推奨で何が変わる??ノボ&イーライリリーの戦略と日本のMRに求められる事】
【WHO、成人への肥満症治療薬推奨で何が変わる??ノボ&イーライリリーの戦略と日本のMRに求められる事】
2025年8月、世界保健機関(WHO)は、成人の肥満症治療にGLP-1受容体作動薬の使用を正式に推奨する新たなガイドラインを発表する予定です。これにより、肥満症治療の世界的な潮流が大きく変わることが予想されます。
WHOの新ガイドラインとその影響
WHOの新たなガイドラインでは、以下の点が注目されています:
- GLP-1受容体作動薬(例:Wegovy、Zepbound)の成人肥満症治療への推奨
- これらの薬剤をWHOの必須医薬品リストに追加する可能性
- 低・中所得国へのアクセス拡大を目的とした価格調整や共同調達の提案
これらの動きは、肥満症治療薬市場の拡大と競争の激化を促進すると考えられます。
ノボノルディスクとイーライリリーの業績と戦略
ノボノルディスク(Novo Nordisk)
デンマークの製薬企業ノボノルディスクは、GLP-1受容体作動薬の分野でリーダー的存在です。2024年には、肥満症治療薬Wegovyの売上が前年比で倍増し、同社の総売上は26%増の約41億ドルに達しました。同社の時価総額は2025年3月時点で6040億ドルに達し、ヨーロッパ最大の企業となっています。
今後の戦略として、ノボノルディスクは新たな経口肥満症治療薬「アミクレチン(amycretin)」の開発を進めており、初期の臨床試験では36週間で平均22%の体重減少が確認されています。また、心血管疾患や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)など、他の適応症への展開も視野に入れています。
イーライリリー(Eli Lilly)
米国の製薬大手イーライリリーは、肥満症治療薬Zepbound(チルゼパチド)で市場に参入しています。2025年第1四半期には、Zepboundの売上が前年同期比で約4.5倍の23億ドルに達しました。同社の時価総額は8000億ドルを超え、世界で最も価値のある製薬会社となっています。
イーライリリーは、次世代の肥満症治療薬「レタルトルチド(retatrutide)」の開発にも注力しており、48週間で平均24.4%の体重減少が確認されています。さらに、経口肥満症治療薬「オルフォグリプロン(orforglipron)」の発売に向けて、5億5000万ドル相当の在庫を準備しています。
日本市場での販売戦略とMRの役割
日本における肥満症治療薬の適正使用
日本では、GLP-1受容体作動薬の使用に関して厳格な適応が定められており、単なるダイエット目的での使用は認められていません。適応外使用や個人輸入による使用は、健康被害のリスクが高く、推奨されません。
注意:GLP-1受容体作動薬の適応外使用や個人輸入は、健康被害のリスクが高く、推奨されません。
MR(医薬情報担当者)に求められる役割
MRは、医療従事者に対して最新の情報を提供し、適正使用の推進に努める必要があります。以下の点が重要です:
- 医療従事者への正確な情報提供と教育
- 適応外使用や個人輸入のリスクについての啓発
- 患者への適切な指導とフォローアップの支援
MRは、医療現場での適正使用を推進し、患者の安全と治療効果の最大化に貢献することが求められます。
まとめ
WHOの新たなガイドラインにより、肥満症治療薬市場は今後さらに拡大すると予想されます。ノボノルディスクとイーライリリーは、それぞれの戦略で市場をリードしています。日本市場では、厳格な適応に基づいた適正使用が求められており、MRの果たす役割が重要です。
※本記事は2025年5月時点の情報に基づいています。最新の情報は各製薬会社の公式発表をご確認ください。
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