塩野義製薬2024年度決算を徹底解説!!鳥居薬品買収で国内事業は今後どうなる??
塩野義製薬2024年度決算を徹底解説!!鳥居薬品買収で国内事業は今後どうなる??
2025年5月12日に発表された塩野義製薬の2024年度決算は、国内医療用医薬品の売上減少が目立つ一方で、HIVフランチャイズや海外事業の好調が際立つ内容となりました。さらに、鳥居薬品の買収により、国内プライマリーケア領域でのプレゼンス拡大が期待されています。本記事では、投資家・株主の視点から、決算の詳細と今後の展望を解説します。
2024年度決算の概要
塩野義製薬の2024年度連結業績は以下の通りです:
- 売上収益:4,383億円(前年比+0.7%)
- 営業利益:1,566億円(前年比+2.1%)
- 親会社株主に帰属する当期利益:1,704億円(前年比+5.2%)
前年のADHD治療薬ライセンス移管による一時金(250億円)を除くと、実質的な増収増益を達成しています。特に、HIV関連のロイヤリティ収入と海外事業が成長を牽引しました。
国内医療用医薬品の苦戦
一方で、国内医療用医薬品の売上は988億円と、前年の1,511億円から34.6%の大幅減となりました。主な要因は以下の通りです:
- COVID-19関連製品の売上減少:ゾコーバやインフルエンザファミリーの売上が減少
- ADHD治療薬の一時金剥落:前年の一時的な収入がなくなった影響
これにより、国内事業の収益性が大きく低下しました。
HIVフランチャイズと海外事業の好調
HIV関連のロイヤリティ収入は2,404億円と、前年の1,958億円から22.8%増加しました。ViiV社の製品群(Dovato、Juluca、Cabenuva、Apretudeなど)の売上増加が寄与しています。
また、海外子会社および輸出の売上は591億円と、前年の499億円から18.4%増加しました。特に、抗菌薬セフィデロコル(Fetroja/Fetcroja)の販売拡大が貢献しています。
鳥居薬品買収による国内事業の再構築
塩野義製薬は、国内プライマリーケア領域の強化を目的として、鳥居薬品の買収を実施しました。これにより、以下のシナジー効果が期待されています:
- プライマリーケア領域でのプレゼンス拡大:鳥居薬品の製品ラインアップを活用
- 感染症領域での売上拡大:既存の感染症薬と鳥居薬品の製品の相乗効果
- MRの活動範囲拡大:新たな製品群の取り扱いにより、医師との接点増加
これにより、国内事業の再構築と収益性の改善が期待されます。
投資家・株主へのメッセージ
塩野義製薬は、2025年度の業績予想として、売上収益4,600億円、営業利益1,650億円を掲げています。HIVフランチャイズや海外事業の成長に加え、鳥居薬品買収による国内事業の再構築が鍵となります。
また、1株当たり配当金を87円に増額するなど、株主還元にも注力しています。
まとめ
2024年度の塩野義製薬は、国内事業の苦戦をHIVフランチャイズと海外事業の好調で補い、実質的な増収増益を達成しました。鳥居薬品の買収により、国内プライマリーケア領域でのプレゼンス拡大と感染症領域での売上拡大が期待されます。今後の動向に注目が集まります。
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