リジェネロン、先天性難聴の遺伝子治療「DB-OTO」を国内申請難聴治療と日本組織はどう変わるのか

バイオベンチャー企業研究
Screenshot
2026年7月29日 国内承認申請

リジェネロン、先天性難聴の遺伝子治療「DB-OTO」を国内申請
難聴治療と日本組織はどう変わるのか

リジェネロン・ジャパンは、両アレル性オトフェリン(OTOF)遺伝子変異による難聴を対象として、AAVベクター遺伝子治療薬「DB-OTO」を日本で承認申請しました。補聴器や人工内耳で音を補う治療から、原因遺伝子を補う治療へ。先天性難聴診療の転換点となる可能性があります。

国内申請を確認

2026年7月29日付の日刊薬業は、リジェネロン・ジャパンが「両アレル性オトフェリン(OTOF)遺伝子変異による難聴」を適応として、アデノ随伴ウイルスをベクターとする遺伝子治療薬DB-OTOを国内申請したと報じました。

国内で承認されれば、遺伝子を2つのAAVベクターに分けて搭載するデュアルAAV方式の遺伝子治療薬として、日本初となる可能性があります。

この記事のポイント
  • 先天性難聴は、両耳難聴だけでも新生児約1,000人に1人にみられる
  • OTOF関連難聴では、音を感じても聴神経へ信号を伝えられない
  • DB-OTOは正常なOTOF遺伝子を内耳へ届ける単回投与型遺伝子治療
  • 米国では2026年4月に「OTARMENI」として承認済み
  • 国内展開には遺伝子検査、患者紹介、治療施設認定を一体化した体制が必要
  • デュピクセント耳鼻科MRだけでなく、希少疾患専任組織が設置される可能性が高い

先天性難聴とはどのような病気なのか

生まれつき聴力に障害がある状態を、先天性難聴といいます。難聴の程度は、会話が少し聞き取りにくい軽度難聴から、大きな音にもほとんど反応しない重度・最重度難聴までさまざまです。

ジェイエイシーリクルートメント

両耳の先天性難聴は、新生児約1,000人に1人の割合でみられるとされています。片耳だけの難聴も含めると、聴覚に何らかの問題を持って生まれる子どもはさらに多くなります。

原因には、遺伝子の病的変化、妊娠中のサイトメガロウイルス感染症、風疹、トキソプラズマ症、早産、低酸素状態、新生児仮死などがあります。なかでも遺伝的要因は、先天性・早期発症難聴の重要な原因です。

出生直後の検査が重要な理由

新生児は、外見や普段の行動だけで聴力を判断することが困難です。以前は、言葉がなかなか出ない、呼びかけに反応しないといった変化から、成長後に初めて難聴が判明するケースも少なくありませんでした。

現在は、新生児聴覚スクリーニングとして、自動聴性脳幹反応検査のAABRや、耳音響放射を測定するOAEなどが用いられています。異常が疑われた場合は、ABR、ASSR、乳幼児聴力検査などによる精密検査へ進みます。

乳幼児期は、音を聞き分け、意味を理解し、発語へつなげる重要な時期です。難聴を早期に発見し、補聴器、人工内耳、療育などへつなぐことは、音声言語の発達やコミュニケーション能力を支えるうえで極めて重要です。

OTOF関連難聴は新生児聴覚スクリーニングを通過することがある
OTOF関連難聴では、外有毛細胞の機能が保たれていることがあります。そのため、OAEでは正常反応が得られ、実際には高度難聴があるにもかかわらず、スクリーニングを通過する場合があります。日本の患者を対象とした研究では、新生児聴覚スクリーニングによる検出率は65.9%と報告されました。

OTOF遺伝子変異による難聴とは

OTOF遺伝子は、オトフェリンというタンパク質を作るための設計図です。オトフェリンは、内耳の内有毛細胞が受け取った音の情報を、聴神経へ伝える際に重要な役割を持っています。

両親から受け継いだ2つのOTOF遺伝子の両方に病的変化があると、正常に機能するオトフェリンが不足します。その結果、耳の構造や音を感じ取る細胞が残っていても、音の情報を聴神経へ適切に受け渡せません。

音が内耳へ
届く
有毛細胞が
音を感知
オトフェリンが
正常に働かない
聴神経へ信号を
伝えられない
高度・重度の
難聴
耳の細胞が残っていることが遺伝子治療の鍵になる

OTOF関連難聴では、音の情報を受け取る内有毛細胞が比較的保たれている場合があります。機能するOTOF遺伝子を届けられれば、残っている細胞を使って聴覚伝達を回復できる可能性があります。

日本の対象患者数はどのくらいか

日本におけるOTOF関連難聴の正確な患者数を示す全国統計はありません。

日本人の感音難聴患者を解析した研究では、OTOF遺伝子の両アレル性変異は、遺伝性難聴の原因の一部を占めることが示されています。GeneReviewsでは、日本人難聴コホートにおけるOTOF病的変異の割合として約1~2%が紹介されています。

一方、DB-OTOの対象となるのは、単にOTOF変異がある患者全体ではありません。両アレル性変異が分子遺伝学的検査で確認され、重度から最重度の感音難聴があり、治療対象となる耳に一定の内耳機能が残っていることなどが重要になります。

出生数と既報の頻度から考えると、日本国内で新たに生まれる治療候補患者は、年間数人から十数人程度にとどまる可能性があります。ただし、これまで正確に診断されていなかった小児や成人、人工内耳を装用している患者も存在すると考えられます。

患者数の推計には大きな不確実性がある
「先天性難聴の患者数」と「DB-OTOを使用できる患者数」は同じではありません。実際の市場規模は、遺伝子検査の普及、対象年齢、人工内耳装用歴、外有毛細胞機能、承認条件によって大きく変わります。

現在の治療は補聴器と人工内耳が中心

1

補聴器

音を増幅し、残っている聴力を活用する治療です。軽度から中等度の難聴を中心に使用され、乳幼児では成長に合わせた細かな調整が必要です。

2

人工内耳

内耳へ電極を挿入し、聴神経を電気的に刺激する治療です。補聴器で十分な効果が得られない高度・重度難聴の重要な選択肢です。

人工内耳は、多くの高度・重度難聴患者の音声言語獲得を支えてきた確立された治療です。一方、手術後も音の調整、機器管理、聴覚リハビリテーションが必要になります。

また、人工内耳は電気刺激によって音の情報を聴神経へ伝える治療であり、内耳に本来備わっている生理的な音の伝達機能を回復させるものではありません。

DB-OTOは、この治療構造を根本から変える可能性を持っています。

DB-OTOはどのような遺伝子治療なのか

DB-OTOは、機能するOTOF遺伝子を内耳の有毛細胞へ届ける、AAVベクターを用いた遺伝子治療です。米国では一般名lunsotogene parvec-cwha、製品名OTARMENIとして、2026年4月23日にFDA承認を取得しました。

OTOF遺伝子はサイズが大きく、通常のAAVベクター1つには収まりません。そこでDB-OTOでは、遺伝子を2つに分け、それぞれを別のAAVベクターに搭載します。

2つの遺伝子断片が同じ細胞へ届くと、細胞内で完全なOTOF遺伝子として再構成され、正常なオトフェリンを作れるようになります。これがデュアルAAV方式です。

正常なOTOF遺伝子を
2つに分割
2種類のAAVへ
搭載
蝸牛内へ
単回投与
有毛細胞内で
遺伝子を再構成
オトフェリンを
発現

点滴ではなく、内耳へ直接投与する

DB-OTOは通常の注射薬のように静脈内や皮下へ投与する製品ではありません。全身麻酔下で、耳科手術によって蝸牛内へ直接投与します。

米国の添付文書では、無菌の懸濁液を蝸牛内へ注入する製品とされています。投与には、人工内耳手術などの高度な耳科手術に習熟した医師と、専用の施設体制が必要です。

また、DB-OTOには、有毛細胞で選択的に遺伝子を発現させるためのプロモーター技術が組み込まれています。全身の細胞で広く遺伝子を働かせるのではなく、治療に必要な内耳細胞を中心にオトフェリンを作らせる設計です。

米国では世界初の遺伝性難聴遺伝子治療として承認

FDAは2026年4月23日、OTARMENIを承認しました。FDAは同剤を、遺伝性難聴に対する初の遺伝子治療であり、世界初のデュアルAAVベクター遺伝子治療と説明しています。

米国での承認対象は、次の条件を満たす小児および成人です。

  • 分子遺伝学的検査で両アレル性OTOF変異が確認されている
  • 重度から最重度の感音難聴がある
  • 外有毛細胞の機能が保たれている
  • 治療対象となる耳に人工内耳を装用していない

日本の最終的な承認条件は審査結果によって決まるため、米国と完全に同じになるとは限りません。しかし、国内でも遺伝子検査、聴力、外有毛細胞機能、人工内耳装用歴などが患者選択の重要な要素になると考えられます。

臨床試験ではどのような結果が出ているのか

DB-OTOは、国際共同第1/2相CHORD試験で評価されました。対象は、OTOF遺伝子変異による重度から最重度の難聴を持つ小児および成人です。

リジェネロンが公表した米国承認時のデータでは、評価対象20人のうち16人が投与後6カ月以内に臨床的に意味のある聴力改善を示し、別の1人も12カ月までに改善したとされています。

初期の症例では、正常範囲に近い聴力まで改善した患者や、言葉や環境音への反応が認められた患者も報告されました。

最大の価値は、音を大きくするのではなく、音の伝達機能を回復させること

DB-OTOは、補聴器のように音を増幅する治療でも、人工内耳のように聴神経を電気刺激する治療でもありません。欠損しているオトフェリンを再び発現させ、本来の内耳機能を利用して音を伝えることを目指します。

長期的な効果と安全性は今後も確認が必要

AAV遺伝子治療は、1回の投与で長期的な効果が期待されます。一方で、治療効果が何年、何十年維持されるのかについては、今後の長期追跡が必要です。

また、安全性については、AAVベクターそのものに関連するリスクに加え、蝸牛内投与手術に伴う感染、髄液漏、めまい、顔面神経障害、味覚変化、内耳炎などへの注意が必要です。

先天性難聴の子どもが主な対象になる可能性を考えると、治療後の聴力だけでなく、言語発達、教育、社会生活への長期的影響も評価されることになります。

国内承認後の最大の課題は患者を見つけること

DB-OTOは、承認されれば自動的に普及する製品ではありません。対象患者が極めて少なく、遺伝子検査を受けなければ診断できず、投与できる施設も限定されるためです。

治療までの段階 必要となる対応 主な関係者
早期発見 新生児聴覚スクリーニング、ABR、ASSR 産科、小児科、地域耳鼻科
専門施設への紹介 高度難聴、聴覚ニューロパチー疑い患者の紹介 地域耳鼻科、大学病院、療育施設
確定診断 OTOFを含む遺伝学的検査、遺伝カウンセリング 難聴専門医、臨床遺伝専門医
適格性評価 聴力、外有毛細胞機能、人工内耳歴、手術適応の確認 耳科手術医、聴覚検査部門
治療実施 製品手配、全身麻酔、蝸牛内投与、品質管理 認定治療施設、薬剤部、手術部
長期追跡 聴力、言語発達、安全性、患者レジストリ 耳鼻科、言語聴覚士、企業

特に重要なのが、人工内耳手術前の遺伝子検査です。米国では、治療対象の耳に人工内耳を装用していないことが条件となっています。

一方で、人工内耳は実績のある重要な治療です。遺伝子治療の可能性だけを理由に人工内耳を不必要に遅らせれば、言語発達に不利益が生じるおそれがあります。

迅速な遺伝子検査と専門医による適切な説明を行い、人工内耳と遺伝子治療のどちらが適切かを早期に判断できる体制が必要です。

デュピクセントの耳鼻科MRが担当するのか

リジェネロンは、サノフィとの提携を通じてデュピクセントを耳鼻科領域へ展開してきました。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎などを通じ、耳鼻科医との接点や疾患啓発のノウハウを持っています。

そのため、既存の耳鼻科ネットワークをDB-OTOで活用する可能性は十分にあります。

ただし、デュピクセントの耳鼻科MRが通常業務の延長としてDB-OTOを単独担当する可能性は低いと考えます。

対象医師が異なる

デュピクセントでは一般耳鼻科や鼻科専門医が中心ですが、DB-OTOでは小児難聴、人工内耳、耳科手術、遺伝性難聴の専門医が中心です。

患者数が極めて少ない

多数の医療機関を訪問して処方を広げるモデルではなく、全国の候補患者と専門施設を個別に把握する必要があります。

手術を伴う製品

製品説明だけでなく、施設認定、手術手技、製品配送、薬剤管理、長期追跡まで支援する必要があります。

遺伝子診断が必須

耳鼻科医だけでなく、臨床遺伝専門医、検査会社、遺伝カウンセラー、言語聴覚士との連携が必要です。

最も現実的なのは希少疾患専任チームとのハイブリッド型

組織体制の実践的予測

リジェネロン・ジャパンは、既存の耳鼻科ネットワークを入口として活用しながら、DB-OTOの中核業務を少人数の希少疾患・遺伝子治療専任チームが担当するハイブリッド型を採用する可能性が高いと考えます。

承認前後はメディカルとマーケットアクセスが先行

DB-OTOのような遺伝子治療では、一般的な新薬のようにMRを先に多数採用する必要性は高くありません。

国内申請後から承認までの期間は、メディカルアフェアーズ、薬事、マーケットアクセス、サプライチェーン、ペイシェントサービスなどの専門人材が中心になると考えられます。

申請後から承認前 国内患者数の把握、遺伝子診断施設のマッピング、治療施設候補との協議、薬価・償還戦略の策定を進める段階です。
承認準備期 投与施設の認定、医師への手技トレーニング、製品保管・輸送、患者支援プログラム、長期追跡体制を整備します。
上市前後 少人数のKAMやレアディジーズ・スペシャリストが、専門施設と患者紹介ネットワークを担当すると予測されます。
上市後 治療患者の安全性、聴力、言語発達を追跡しながら、未診断患者の発見と地域紹介網の拡大を進めます。

MRよりもKAM型の役割が中心になる

DB-OTO担当者の役割は、通常のMRのように処方量を増やすことではありません。

  • 全国の難聴専門施設と人工内耳実施施設を把握する
  • 地域の耳鼻科、小児科、療育施設からの紹介導線を構築する
  • 遺伝子検査から治療施設までの患者フローを管理する
  • 治療施設の薬剤部、手術部、事務部門との調整を行う
  • 患者ごとの製品手配、手術日程、供給計画を支援する
  • 治療後の長期フォロー体制を支援する

したがって、職種名も一般的なMRではなく、KAM、レアディジーズ・スペシャリスト、ジーンセラピー・アカウントマネジャーなどになる可能性があります。

フィールド人員は当初4~8人程度か

OTOF関連難聴だけで考えると、全国に数十人規模の営業組織を設置する合理性は高くありません。

治療施設が全国の大学病院や小児難聴・人工内耳の専門施設に限定される場合、当初は全国を複数ブロックに分け、4~8人程度のKAMまたは希少疾患スペシャリストで担当する体制が現実的です。

これに数人のMSL、マーケットアクセス、患者支援、治療コーディネーション、サプライチェーン担当を加えた小規模・高専門性の組織が想定されます。

人員数は公開情報ではなく筆者の予測
国内の承認条件、治療施設数、リジェネロンの将来パイプライン、サノフィとの協業範囲によって必要人員は変わります。

既存の耳鼻科MRはどのように関与するのか

デュピクセントの耳鼻科担当者が関与するとすれば、DB-OTOの直接的な治療導入よりも、疾患啓発と患者紹介の入口を担う可能性が高いでしょう。

組織・職種 想定される役割
既存の耳鼻科MR 疾患啓発、OTOF関連難聴を疑うポイントの周知、専門施設への紹介促進
希少疾患KAM 専門施設、紹介ネットワーク、治療導入プロセスの統括
MSL 遺伝子治療、臨床データ、患者選択、安全性に関する科学的対話
患者支援担当 検査、専門受診、手術、長期フォローに関する患者導線支援
マーケットアクセス 薬価、償還、施設要件、地域医療提供体制の調整
治療オペレーション 製品発注、輸送、保管、投与日程、トレーサビリティー管理

つまり、既存MRが専門チームへ患者をつなぎ、希少疾患KAMとMSLが治療施設を担当する二層構造が現実的です。

リジェネロンは日本で希少疾患組織を立ち上げるのか

DB-OTO単剤だけでは、大規模な独立事業部を立ち上げるには患者数が少なすぎる可能性があります。

しかし、リジェネロンは抗体医薬だけでなく、siRNA、遺伝子治療、ゲノム編集などへ事業領域を広げています。日本でも複数の希少疾患製品を自社展開する方針であれば、DB-OTOは希少疾患組織を立ち上げる起点になり得ます。

特に、内耳遺伝子治療の後続パイプラインや、補体系を標的とする希少疾患治療などを同一組織へ加えられる場合、少人数のDB-OTO専任チームから、独立した希少疾患事業部へ拡張する合理性が生まれます。

考えられる3つの組織シナリオ

1

既存組織への追加

耳鼻科担当者の一部を教育し、メディカルと本社機能を追加して対応する最小構成です。コストは抑えられますが、専門性と運用負荷に課題があります。

2

専任チームとのハイブリッド

既存耳鼻科MRが疾患啓発を行い、少人数の専任KAMが治療施設を担当します。最も現実的な選択肢です。

3

希少疾患事業部を新設

DB-OTOに複数の希少疾患・遺伝子医薬を組み合わせ、独立事業部を設置します。中長期的には十分考えられるシナリオです。

本稿の予測

上市時はハイブリッド型で開始し、後続製品の承認に合わせて希少疾患事業部へ拡張する可能性が最も高いと考えます。

DB-OTOがリジェネロンにもたらす戦略的価値

DB-OTOの対象患者数は極めて限られます。そのため、単一製品としての国内売上だけを見れば、巨大市場になる可能性は高くありません。

しかし、DB-OTOの価値は売上だけでは測れません。

第一に、リジェネロンが遺伝子治療薬を自社で申請し、承認、薬価収載、供給、長期安全性管理まで実行するための基盤を構築できます。

第二に、希少疾患領域で必要となる患者発見、遺伝学的診断、専門施設への集約、患者支援という一連のノウハウを日本で獲得できます。

第三に、世界初のデュアルAAV遺伝子治療を展開することで、リジェネロン・ジャパンの企業イメージを、デュピクセントを中心とする免疫・アレルギー企業から、遺伝子医薬と希少疾患を扱う先端バイオ企業へ広げられます。

日本で普及させるための重要課題

  • 新生児聴覚スクリーニング後の精密検査を確実に行う
  • OAE正常・ABR異常というOTOF関連難聴の特徴を周知する
  • 高度・重度難聴患者へ早期に遺伝学的検査を行う
  • 人工内耳手術前に遺伝子治療の適格性を検討する
  • 地域耳鼻科、小児科、療育施設と専門施設を結ぶ
  • 遺伝子治療の利益と限界を家族へ中立的に説明する
  • 治療後の聴力と言語発達を長期間追跡する

特に重要なのは、患者や家族が遺伝子治療と人工内耳を単純な優劣で比較しないことです。

人工内耳には長年の臨床実績があります。一方、DB-OTOには生理的な聴覚回復を目指せる可能性がありますが、長期的な有効性と安全性については今後もデータの蓄積が必要です。

どちらの治療が適切かは、年齢、聴力、遺伝子型、内耳機能、人工内耳装用歴、言語発達の状況などを踏まえて判断する必要があります。

まとめ:国内申請は難聴治療とリジェネロンの転換点

2026年7月29日、リジェネロン・ジャパンは、両アレル性OTOF遺伝子変異による難聴を対象としてDB-OTOを国内申請しました。

DB-OTOは、補聴器や人工内耳によって音を補うのではなく、正常なOTOF遺伝子を内耳へ届け、本来の聴覚伝達機能を回復させることを目指す遺伝子治療です。

一方、日本で治療を普及させるには、遺伝子検査、患者紹介、治療施設認定、手術支援、製品供給、長期追跡を一体化した仕組みが必要です。

デュピクセントの耳鼻科MRが疾患啓発や患者紹介の入口を担う可能性はありますが、DB-OTOの中核を担当するのは、少人数の希少疾患KAM、MSL、マーケットアクセス、患者支援、治療オペレーション担当からなる専任組織になると予測します。

DB-OTOは患者数の多い製品ではありません。しかし、リジェネロンが日本で希少疾患・遺伝子医薬を自ら展開する企業へ変化するうえで、極めて象徴的な第一歩になる可能性があります。

主な参考資料

ジェイエイシーリクルートメント

※本記事に記載した国内組織、人員数、販売体制、承認時期に関する内容は、公開情報と希少疾患・遺伝子治療製品の一般的な事業構造を基にした考察です。リジェネロン・ジャパンが正式に発表した組織計画ではありません。

ジェイエイシーリクルートメント

コメント

タイトルとURLをコピーしました